〜TOPS3選手出場試合観戦記&PHOTO〜

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◆第三試合◆
(5分2R)
桜井 隆多 vs 北川 純 ×
(総合格闘技TOPS) (シューティングジム神戸)
1R 3'23" TKO(ドクターストップ)
観戦記
  
  桜井は以前、負けている。
修斗2戦目にして勝ち星の無かった北川に・・・。

  両者は共に98デビュー組である。言い方を変えれば、修斗では同期と言うことになる。
  しかし対戦当時、両者の立場は明らかに違っていた。“トーナメント・オブ・J”など様々なアマチュア総合を経験して、
  全日本アマ修斗でも優勝。デビュー戦をTKO勝ちで圧勝すると、今や修斗を離れた竹内、佐々木とも激闘を繰り広げた。

  下北ではメインを任されるまでになっていた桜井だが、佐々木戦での敗北により前から痛めていた左ヒザを壊した。
  そんな傷が癒える間もない復帰戦ではあったが、北川相手には格の違いを見せつけなければならなかった。
  例え、相手が5kg重く、契約体重の試合であったとしても・・・。


  しかし、出来なかった。組んでは上を取られ、得意のパウンドも封じられた。結果、押さえ込み中心ではあったが、
  試合の主導権を握られ完敗。逆に北川のシューター人生に息吹を与えてしまった。

  ここ3戦、桜井は調子が良さそうだ。マッチメイクにも恵まれていた。どの試合も勝てる内容だった。だのに、結果は1勝2分け。
  時にはダウンを奪いながらも、時にはデビュー2戦目の勝ち星の無い相手にも、桜井は勝ち星を落としている。
  特に前戦のザ・グレート浪花との引き分けは痛かった。
  否応なしに、デビュー2戦目だった北川に完敗した試合を思い出してしまう。
  そう、自分のシューター人生が振り出しに戻ったあの頃に。


  もう勝つしかない。
  負けは当然、引き分けすらも許されない。桜井隆多の覚悟を問われる試合であった。

  NGKホールは悲鳴で包まれていた。
  ニュートラルコーナーには、静かに呼吸を整え試合が再開されるのに備えている桜井がいる。
  一方の北川はと言うと、逆のコーナーでドクターチェックを受けていた。
  1R終盤に、バックを取った桜井の、強烈なパウンドが火を噴いた結果がそれだ。
  レフェリーも近寄る。セコンドも心配そうに駆け寄る。滴り落ちる鮮血は、どうやら眉の上からのもののようだ。
  北川が首を振っている。選手にとっては、無情の宣告、ドクターストップ。それでもなお、北川は抵抗する。
  おおよそ、風貌からは想像も付かない涙が血に混じっていた。そんな北川を見て、セコンドはタオルを放り投げた。


  見事なTKO勝利

  試合序盤から桜井は攻めた。
  丁寧にローを打ち、接近戦では強烈な右フックで北川のアゴを引っかけ、反撃の時間を許さずに左ヒザをぶち込んだ。
  テイクダウンを狙った際に、腕をアームロックの体勢に取られるも、安易にグランドに行かず、ジッと耐え反撃の機を伺った。
  時には足を踏み付けられても、微動だにせずにチャンスを伺った。結果、レフェリーからのブレイク。
  再びスタンドでの打撃戦のチャンスを得た桜井は、あせらずキックボクサー顔負けのローを叩き込んでいく。
  なんとかグランドで闘いたい北川のタックルを切り、バックに回るとフィニッシュとなるパンチを繰り出した。


  今日は一度も下にならずに、自分の修斗を貫いた。そして自分のスタイルが出せれば、勝てるのは分かっていた。
  ライトヘビー級で、外国人相手に唯一パワー負けしないシューター桜井“マッチョ”隆多。
  強烈なパウンドを持ち、スタンドも巧みだ。あとは、試合運びと、押さえ込まれた時の脱出する術を試合で生かせれば、
  須田匡昇もうかうかしてられない。


  修斗でのキャリア10戦以上。挫折は嫌と言うほど味わった。
  31歳の遅咲きのヒーローは、未来の“修斗ライトヘビー級・チャンピオン”。



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◆第四試合◆
(5分2R)
池本 誠知 vs 岩瀬 茂俊 ×
(ライルーツコナン) (総合格闘技TOPS)
判定 2-1
観戦記

  NGKスタジオは、ある一人のシューターを待ちわびていた。
  修斗ミドル級・元ランカー、地元大阪出身の池本誠知がその人である。
  彼の大応援団がスタジオのほとんどを占めているのだから、その一際高い歓声も頷けると言うもの。
  当然会場は、池本誠知を観に来ているのだ。しかも、4連敗中の池本が勝利する姿を。


  対する岩瀬には、無反応。下手をしたら、岩瀬の事を知らない人の方が多そうだ。
  しかし、格下であるはずの岩瀬からは、そんなしおらしさは微塵も感じられない。当たり前だ。
  勝つためだけに、はるばる大阪まで来ているのだから。
  オランダでの国際戦を経験した岩瀬にとっては、アウェーでの歓声の有無などは関係ない。
  それよりもこの試合、格上相手の試合は自分の立場を逆転するビックチャンスなのだ。
  しかも、前戦でミドル級のホープ菊池に判定負けをしている岩瀬には、その意味が痛い程分かっている。
  勝てば、クラスA。今まで闘ってきた中では最も知名度のある選手、自分の知名度も上げられる。


  正直、今日の岩瀬の動きは池本を上回っていた。
  池本のムーブは観客を沸かすことで有名だが、今日のNGKは大半がお通夜状態。
  序盤こそ前蹴りで飛ばされた後、ロープを背に打ち合いに応じ、
  手痛いダウンを奪われたが、それ以外はグランドで常に池本をコントロールしていた。
  1R終了間際には、三角から十字への流れで池本を追い込むシーンも演出している。
  2Rに至っては、テイクダウンから上になりパンチや肩パンチを打ち込み、バックマウントからチョークも仕掛けている。


  ただし、結果は判定負け
  クラスAに手を掛けるどころか、最悪の2連敗となってしまった。
  結果として、池本の前蹴りと右ストレートで奪ったダウン。
  そして、グランドで岩瀬の攻撃からエスケープした池本が評価されたということになる。
  なにせ、20―18という判定もあったくらいだから・・・。


  印象的だったのは、判定を耳にした時の岩瀬のにが笑いと勝者であるはずの池本の疲れ切った顔。
  それこそ死力を尽くして闘ったシューター2人。
  判定にでは無く、両者それぞれが相手を圧倒出来なかったことに納得が行っていないはず。
  さすれば再戦と言う話も出てこようが、それは遙か先の話になるだろう。
  岩瀬にとっては、まだまだ試合をしなければならないクラスB選手がいるはず。
  特に、新人王トーナメントで惜しくも敗れていった男達とは、マッチメイクされる可能性が強い。
  そして池本はクラスAとして、勝てる力を練習で身に付けなければならないはずだ。
  その力とはパワーであり、技術であり、精神力であり池本本人が分かっているはず。
  このままで行けば、初の降格となってしまうのではないか。(長期ブランクの為、降格したシューターは何人かいるが)


  岩瀬としてもこの連敗で立ち止まらず、クラスAに向かってガンガン試合をして欲しい。 
  なにせまだ7戦しかしていない、これから修斗を極めて行くのだから。



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◆第五試合◆
(2002年新人王決定戦 ウェルター級決勝)
川尻 達也 vs 尾松 賢 ×
(総合格闘技TOPS) (総合格闘技コブラ会)
1R 4'40" 腕ひしぎ十字固め
観戦記

  日本人の体型にもっとも向いていると言われている、ウェルター級。
  修斗でもチャンピオンの五味隆典を筆頭に、選手層の厚さは目を見張るものがある。
  そんな、最激戦区のウェルター級・新人王決定トーナメントにおいて、
  圧倒的な力の差を見せつけて勝ち進んで来た一人の男がいる。言うまでもなく、それは川尻達也


  今年に入って4戦4勝
  只今6連勝中で新人王を制する前にクラスAに昇格、ランカーにまでなってしまった規格外の選手である。
  並みの選手ではあり得ないこの結果が、来年度の新人王の参加資格を改定させる事にもなる。
  こんなエピソードも規格外の選手には必要か・・・。


  新人王決勝の相手は、尾松賢。
  所属は、第一回新人王トーナメントの決勝に3名もの選手を送り込んでいる新進気鋭の総合格闘技道場コブラ会である。
  ジム頭は年末に五味隆典とのチャンピオンシップが決定している三島☆ド根性ノ助だ。
  ここに、一抹の不安を感じずにはいられない。尾松にとって、三島は仮想川尻。
  それも、川尻より三島の方が間違いなく強いと思い込んでいるだろう。
  三島とみっちり川尻対策をしている事も、川尻より三島の方が強いという思い込みも、
  勝利の可能性をグッと引き上げるものになる。


  トーナメント決勝戦でありながら、戦前からあまりにも川尻有利の声が強く、
  本人は“絶対に負けられない”というプレッシャーの為に「夜も寝むれない日」もあったようだ。
  しかしそんなプレッシャーの中、試合前のインタビューでは
  「自分では全然有利とは思ってないけれど、周りの評価がそう言ってもらえるなら、その通り勝とうと思います。」
  と圧勝予告をしてしまう強心臓の持ち主でもある。これは期待するなという方が間違いだ。


  両者入場してくると、未だにどうにも不安感が拭えない。明らかに尾松の体がビルドアップされている。
  特に大胸筋の盛り上がりが目を引く。長身を差し引けば、かなりのマッチョ体型ではなかろうか。
  しかし川尻はいつもの通り、気合いを全面に出すわけでもなく、虎視眈々と獲物を狙っている。


  左をぶらりと下げた変則的な構えの尾松に対し、川尻はマッハのようにどっしり構える。
  川尻の凄さは、この構えからオフェンス、ディフェンスの反応が異常に早い事。
  小刻みに動く事はせずに、じっくり相手を追い込み、ハイやパンチをノーモーションで繰り出していく。
  相手のタックルに対しても素早く反応し、テイクダウンされるケースは稀である。
  杉江戦では、アマゾン渾身のタックルをアタック後にも関わらず、見事に切り返している。
  山崎戦でも、ねちっこいタックルを悉く封じて見せている。


  試合に戻るとしよう。まず尾松の飛び込み右ストレート。
  しかし川尻は、尾松の渾身のオープニングブローでさえも、バランスひとつ崩さずに避けてしまう。
  そして、すかさず距離を詰め左ハイ。左前蹴りからタックル。
  本人いわく、正直すぎるタックルだったものの、ロープ際まで押し込み、豪快にテイクダウン成功。
  尾松も得意のフロントチョークに行くが、体勢を崩されていた為完全な入りではない。
  川尻は首に巻き付いた腕には目もくれず、サイドに移行する。
  サイドから長身であるはずの尾松を小さく畳み込んで、ガッチリ押さえ込む。
  尾松も戻そうとするが、川尻の強烈な押さえ込みに為す術がない。
  肩パンチ、後頭部へのパンチとフィニュッシュへ向け余念がない川尻。
  パウンドが火を噴くのか、はたまた関節を絞り上げるのか。


  今日の川尻は、関節狙いらしい。
  パスすると同時に、十字を仕掛ける。頭を軸に一回転するも、尾松も動きに付いてくる。
  こらえる尾松だが、川尻の両足のフックが顔に掛かると、万事休す。あえなく川尻の軍門に下った。


  川尻の右拳が、何度も天を突き上げた。盟友・石田選手に肩車され喜びを爆発させる。
  いつもの通り、いやいつも以上に喜びを露わにした。新人王を獲得し、負けられない試合を闘い抜いた川尻。
  その開放感は我々の想像以上のものだったようだ。


  これから川尻達也は世界と闘っていく。
  例え、日本人が相手だとしてもそれは世界で認められている選手になるだろう。
  茨城から2人目の修斗チャンピオン。その一人目の桜井“マッハ”速人の背中が見えてくる日はもう近い。


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■ 観戦後記 ■

修斗の採点基準では、相手の攻撃からエスケープする事にプラス評価を与えているのか?
これは、先日の佐藤ルミナVSタクミでも観られた判定の傾向である。
激しく攻められている者が、エスケープする。当然観ている者は、興奮し大声援が会場を包む。
それは、判定評価のプラスにはならないはずだ。ただ、イーブンの展開に引き戻しただけである。
判定というのは、いつだってどんな競技だって批判の的になる。
オリンピック競技での体操競技などが良い例か。
おおげさでは無く、競技者の人生を左右する力を持っているのだからそれも当たり前。


 せめてジャッジの人達には周囲の評価を聞き、自分達の観る目の精度向上を図る努力を怠らないで欲しい。
人間の判断に絶対は無いのだから。







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